第38回交流会

11月16日(土)の交流会は、NECの各務惣太さんによる「量子センシング入門~原子と光で磁場を測る話」と、産総研の川崎瑛生さんによる「ニュートリノ振動とは何か?」をお送りしました。

日時:11月16日(土)16:00〜講演会、18:30〜懇親会
会場:つくばスタートアップパークとTeams配信のハイブリッド開催

◯スケジュール

16:00~ 挨拶、接続確認等
16:05~ 講演 1: 各務惣太さん (日本電気株式会社)
17:05~ 休憩
17:10~ 講演 2: 川崎瑛生さん(産業技術総合研究所)
18:30~ 塚田農場つくば店にて懇親会

◯講演要旨

「量子センシング入門~原子と光で磁場を測る話」
 各務惣太さん
TBA

「ニュートリノ振動とは何か?」
 川崎瑛生さん
ニュートリノ。この単語をノーベル賞の話題で「カミオカンデ」と共に一度は聞いたことがある人も多いと思います。しかし、実際のところニュートリノって何なのでしょうか? 本講演においてはこのニュートリノについて、その性質の話から始めて2015年のノーベル物理学賞のテーマにもなっているニュートリノ振動の話に至るまで、数式を用いずにわかりやすく解説します。ノーベル賞の受賞理由となった研究や今後の研究の展開についても触れたいと思います。

第37回交流会

12月17日(日)に、下記の通り交流会を開催いたしました。

近年、研究者にとって起業することは、徐々に身近な選択肢の一つになりつつあります。
一方で、ベンチャーの成功率は千に三つといわれ、新たな挑戦に二の足を踏む人も少なくありません。果たして、起業した人は実際のところ、どのようなことを考えて創業し、活動しているのでしょうか?

今回は、自らベンチャーを創業・経営し、長年第一線で活躍されてきた研究者の方々に、創業に至った動機や経緯、苦労など、ご自身の経験談について発表頂くとともに、「研究者にとって会社を創業する意義、幸せなキャリアパスとは?」について、参加者の方々とともに議論しました。

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【第37回つくばサイエンスネットワーク交流会】

日時:2023年12月17日(日)
 ■ 講演会 16:00〜
 ■ 懇親会 19:00〜

場所:つくばスタートアップパーク(https://tsukuba-stapa.jp/
   オンライン参加のためのリンクは参加登録された方にのみ後日お知らせします。

講演者:(敬称略)
 ■ 後藤 博史(株式会社GCEインスティチュート 代表取締役)
 ■ 村田 和広(株式会社SIJテクノロジ 代表取締役)
 ■ 青砥 隆仁(Optech Innovation合同会社 代表者)
 ■ 河尻 耕太郎(株式会社エイゾス 創業者)

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 ■ 後藤 博史(株式会社GCEインスティチュート 代表取締役)
「温度差を用いない熱電変換技術による未利用熱の有効活用と技術者としてのラストチャレンジ」
温度差を用いることなく熱を電気に変換する温度差ゼロ発電技術の概要と、この技術による実用化例について紹介します。
また、今まで複数の企業での研究開発業務や、複数のスタートアップ企業の創業などの経験談を紹介し、スタートアップの魅力と課題についてお話します。

 ■ 村田和広(株式会社SIJテクノロジ 代表取締役)
「スーパーインクジェットによる次世代型ものづくりと実用化」
既存インクジェットに比べ1/1000以下の超微少の液滴吐出技術であるスーパーインクジェットを用いた、次世代型ものづくりの方法のご紹介と、ハイテクスタートアップを起業した経験をもとに、技術及び、ベンチャー起業で感じたことなどをご紹介いたします。

 ■ 青砥隆仁(Optech Innovation 合同会社 代表社員)
「研究成果と実用化のギャップを埋めるには?次世代撮像技術のニーズとシーズの観点から」
弊社は次世代撮像技術「コンピュテーショナルフォトグラフィ」というシーズを軸に様々な可視化技術を研究開発しています。
このコンピュテーショナルフォトグラフィ技術を用いることで、従来の撮像限界の突破やこれまで可視化することが困難であった新しい情報の可視化が可能になります。
本発表では、次世代撮像技術という研究成果を元にした起業経験の中で、現場のニーズと如何に話をしてきたのかという点について研究者の目線からご紹介します。

 ■ 河尻耕太郎(株式会社エイゾス 創業者)
「AIは研究開発をどのように変えるのか? -人間が理解するための実験とAIに理解させるための実験の違いとは-」
私達の会社は、深層学習の技術を活用して、必要最小限の実験データを元に、高精度予測、要因分析、多目的最適化をノーコードで実行できる、研究開発向けのAI解析ツール「Multi-Sigma」を開発しています。
本発表では、AIは研究開発をどのように変えるのか、そしてAIのポテンシャルを最大限発揮させるための実験のあり方について紹介したいと思います。
あわせて、これまでの私の研究キャリアと起業までの経緯、そして将来展望についてお話したいと思います。

第36回交流会

3年半ぶりに、コロナ禍前まで使用していた吾妻交流センターを使用しました。ここが利用できるのは今年度末までだそうで、本交流会で使用するのはこれが最後かもしれません。

日時:2023年7月22日(土)16:30~
場所:吾妻交流センター会議室とオンライン配信
会費:無料(懇親会は実費)

■スケジュール

16:30~ 接続確認、挨拶等
16:35~ 講演 1: 深浦希峰さん
         “開発されゆく月面の世界 ~月面推薬プラントの果たす役割~”
17:45~ 講演 2: 中西淳さん
         “材料を用いるメカノバイオロジー”
19:00~ 駅前レストランにて懇親会

■講演要旨

「開発されゆく月面の世界 ~月面推薬プラントの果たす役割~」
深浦希峰さん(日揮グローバル株式会社)

 アポロ計画から60年、米国主導で始まったアルテミス計画を皮切りに人類は再び月面を目指し始めました。日本でも産学官連携のもと、単なる探査に留まらず、新たな経済圏の創出を目標に多様なプレイヤーが動く時代となっています。
 今回は、このような時代の黎明期の中、月面の水資源を活用した推進薬プラント構想を中心に、月面開発現状の一端を紹介させていただければと思います。

「材料を用いるメカノバイオロジー」
中西淳さん(物質・材料研究機構)

近年、生命現象や病態における物理的な力の作用を調べるメカノバイオロジーが注目を集めています。
細胞はどのように力を感じるのか、力学刺激と生化学刺激は補完し合うものなのかなど、これまでの生物学の中心だった分子生物学とは違った興味がわいてきます。
我々はさまざまな独自の材料を用いて,細胞が感じるところの「かたさ」にフォーカスした研究を進めています。
その中から本発表では液体系の材料の上で示す細胞メカノバイオロジー応答に関する研究を紹介します。

第35回交流会

お陰様で当会は活動開始から10年目に入りました! 今後も引き続きご支援いただければ幸いです。

2023年最初の交流会は、ナノバイオサイエンスがご専門の横田一道さんと薄膜工学がご専門の本村大成さんをお迎えして、リアル会場とオンライン配信のハイブリッド開催でお送りしました。

【第35回つくばサイエンスネットワーク交流会】

日時:2023年2月18日(土)16:00~
場所:つくばスタートアップパークならびにオンライン配信

スケジュール
16:00~ 接続確認、挨拶等
16:05~ 講演 1: 横田一道さん (産業技術総合研究所)
           “ナノ·マイクロデバイスによるバイオ計測”
17:05~ 休憩
17:10~ 講演 2: 本村大成さん(産業技術総合研究所)
            “室温スパッタリング成膜による薄膜形成”
18:30~ つくば駅前Q’t内「青山がらり」にて懇親会



「ナノ·マイクロデバイスによるバイオ計測」
横田一道さん(産業技術総合研究所)

1970年代にマイクロメートルスケールのプロセス技術で作られていた半導体デバイスは、今日ではナノメートルスケールのプロセスで製造されるようになり、世界情勢も相まって現在も激しい開発競争が行われています。これらナノ·マイクロスケールで生物を見てみると、生命の設計図となる直径2ナノメートルのDNAや、構造·機能の基本単位となるマイクロメートルスケールの細胞といった、生物学的に重要な計測対象が現れます。
本発表では、半導体微細加工技術を利用して作製した、ナノ·マイクロスケールの流路、電極、細孔などの構造を持つデバイスや、それらを用いた生体分子、微生物、細胞などの計測技術を紹介します。分野の垣根を超えた議論や交流ができればと思っています。

横田さんのオンライン講演の様子


「室温スパッタリング成膜による薄膜形成」
本村大成さん(産業技術総合研究所)

Sputtering(スパッタリング)には「興奮して唾を飛ばしてしゃべる」という意味があるそうだ。
電離気体であるプラズマ中のイオンを材料表面にぶつけることで、材料表面がスパッタするように表面原子が飛び出し、
そのスパッタされた原子が基板などの対象物に到達し、薄膜を形成させる手法をスパッタリング成膜法という。
スパッタリング成膜法ではイオン発生源に主にプラズマを使うので、スパッタされた原子とともにプラズマ粒子である電子やイオンも対象物に到達してしまい、対象物が簡単に数百度の高温状態になってしまう。
対象物を室温程度に温度保持したままスパッタリング成膜するためにはどういうプラズマを用意したらよいのか。
実際に室温スパッタリング成膜を実現した研究成果を交えながら、興奮して唾を飛ばさない程度にご説明したいと思います。

本村さんの講演の様子

第34回交流会

次回の交流会では、巨大ペットボトルロケットでギネス記録を目指す水川勝利さん(翔和学園)と、光格子時計などの精密分光がご専門の川崎瑛生さん(産業技術総合研究所)にご講演いただきます。

【第34回つくばサイエンスネットワーク交流会】
日時:2022年10月29日(土)16:00~
開催方法:オンライン*(参加登録された方に後日接続方法をお知らせします)
会費:なし

スケジュール
16:00~ 接続確認、挨拶等
16:05~ 講演 1: 水川勝利さん (翔和学園)
            “巨大ペットボトルロケットで『人間の生きていく気力を育てる』プロジェクト”
17:15~ 講演 2: 川崎瑛生さん(産業技術総合研究所)
            “時計とは何か?”
18:15~ 休憩
18:30~ オンライン懇親会

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「巨大ペットボトルロケットで『人間の生きていく気力を育てる』プロジェクト」
水川勝利氏(翔和学園)

『壮大な夢に挑む権利は誰にでもある!』『どんな人でも世界一になれば人生が変わる!』
今まで学校で一度もほめられたことがなく、いじめられ、不登校になり、青春というものを体験したことがない発達障害やギフテッド2E(*1)の若者たちが、翔和学園に集まっています。他人や世の中に無関心であったり、コミュニケーションに苦手意識をもつ彼らが、仲間や学校外の応援者と繋がりながら巨大な水ロケットを打上げて、ギネス記録に挑戦した軌跡。場所は宇宙産業に関わる「挑戦者たちの聖地」、北海道大樹町のスペースポート。何度も失敗しながら挑戦を続ける彼らは、果たして世界記録を樹立できたのか?
(*1)2Eとは、ギフテッドプラス発達障害でTwice-Exceptional、二重に特別なという意味。


「時計とは何か?」
川崎瑛生氏(産業技術総合研究所)

世の中で一番正確に測れるものは何でしょうか?この質問の答えは時間です。時間を測るものと言えば時計ですが、最先端の時計は我々が日常的に使う腕時計とは大きく見た目が異なる原子時計です。その精度は腕時計でも7桁程度、つまり1ヶ月で数秒のズレですが、最新の原子時計では18桁の精度に及び、これは宇宙の年齢138億年で1秒ずれるかずれないか程度の精度になります。本講演ではこのような高い精度を持つ原子時計とはどのようなものなのか、さらに精度を上げるにはどうすれば良いのか、このような高精度の時計の使い道は時間を測ることだけなのかについて紹介していきたいと思います。
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【参加登録】下に記したウェブフォームからお申し込みください。
https://forms.gle/ApTPt1LXVzK2mYieA

【メーリングリスト】
今後の交流会や懇親会の開催案内の受け取りを希望される方は、参加登録フォームから「新規登録希望」にチェックを入れてお申し込みください。

皆様のご参加をお待ちしております!

第33回交流会

2021年10月23日(土)16:00 ~ 18:30

場所:オンライン

 第33回の交流会では、前半は齋藤 隆一さん(東亜薬品工業株式会社)に、後半は鹿野 豊さん(群馬大学 / チャップマン大学量子科学研究所 / JSTさきがけ)にそれぞれご講演いただきました。

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発表者:齋藤 隆一さん(東亜薬品工業株式会社)

タイトル: 腸内細菌叢とプロバイオティクス

腸内細菌叢は第二の臓器とも言われ、我々の健康に大きく関与しています。腸内細菌叢の乱れは、感染症や腸炎だけでなく、癌、糖尿病や自閉症などの様々な疾患の発症に関与していることが示唆されております。

そして、プロバイオティクスとして用いられている細菌は、この腸内細菌叢の乱れを回復することで、様々な疾患の治療·改善することが知られており、現在非常に注目されています。

今回は、腸内細菌叢の働きと、プロバイオティクスの効果や課題について我々の臨床研究結果を交えてご紹介させて頂きます。

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発表者:鹿野 豊さん(群馬大学 / チャップマン大学量子科学研究所 / JSTさきがけ)

タイトル: 世界は本当にデタラメなのか?~理論物理学者からの考察~

「神はサイコロを振らない」というのは、2015年に結成された4人組のロックバンド名でもあるが、20世紀を代表する理論物理学者 Albert Einstein の有名な一言である。この背後には、Albert Einstein の量子力学という20世紀初頭に誕生した新しい世界観を受け入れらないというものであった。一方、世界がランダムであるかどうかの論争は紀元前の「骨転がし」の時から始まり、現在まで、もしかしたら複雑な決定論的な法則によって支配されている可能性を否定できない。そのため、デジタル計算機における最初の応用事例の一つは John von Neumann が考えた「疑似乱数生成機」であった。その後、応用数学·暗号理論の発展により、疑似乱数の理論は発展していくが、この世の中を記述する方法論として原理的に確率的な記述でなければならないか?ということは検証すべき研究課題である。そうすることで、本質的に確率的な記述が必要である量子力学の基盤を検証することが出来ると考えられている。そこで本発表では、乱数の歴史を哲学·物理学·統計学·確率論の歴史と交えて紹介し、乱数の尺度をどのように定量化するかについて情報科学的な観点を導入することで紹介し、自身の量子乱数生成の研究について紹介する。

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第32回交流会

2021年7月17日(土) 16:00 ~ 18:30

場所:オンライン

 第32回の交流会では、前半は岸田昌子さん(国立情報学研究所)に、後半は今村岳さん(物質·材料研究機構)にそれぞれご講演いただきました。

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発表者:岸田昌子さん(国立情報学研究所)

タイトル: 動きをデザインする科学 ~数学に基づく現象の理解とモノの動きの設計~

 制御とは、入出力があるモノから望みの出力を得るように自動的に入力を調整する仕組みのことです。航空機や自動運転車からロボットまで、あらゆる動くモノで使われている制御技術の基盤となるのは、数学の一分野である制御理論です。

 今回は、制御理論の研究とはどういったものかということ、最近話題の深層学習との意外な関係、また自身の最近の研究を紹介します。

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発表者:今村岳さん(物質·材料研究機構)

タイトル:ニオイを測るセンサの開発と社会実装

 人間の五感の中で、嗅覚は実用的なセンサ化が実現していない唯一の感覚です。

 ニオイを気軽に測ることのできるセンサが実現したら、野菜や肉が腐っていないかどうかチェックしたり、お気に入りの香水や芳香剤を選ぶことができたりと、様々な場面で活用が期待されます。しかし、ニオイを検知するセンサの性能が不十分であることや、センサで得られるデータの解析方法が開発されていないといった課題があり、これまで実用的なニオイセンサは開発されてきませんでした。

 こういった課題に対して私達は、膜型表面応力センサ(Membrane-type Surface stress Sensor, MSS)という超小型のセンサを用いたニオイセンサの開発を行ってきました。この取り組みの中で、センサの高感度化やAIと組み合わせたデータ解析技術の開発などを行い、ニオイセンサの実用化の道筋が見えてきました。

 この発表では、これまでのニオイセンサの研究·開発の概要と、今後予定している取り組みについてご紹介させて頂く予定です。

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第31回交流会

2021年4月24日(土) 16:00 ~ 18:30

場所:オンライン

 第31回の交流会では、前半は三嶋雄太さん (筑波大学)に、後半は森下拓往さん (宇宙関連スタートアップ勤務)にそれぞれご講演いただきました。

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発表者:三嶋雄太さん (筑波大学)

タイトル:がんをマイクロチップ上に三次元構築する!「Cancer-on-a-Chip」

 免疫細胞を遺伝子編集してがんの治療に用いる再生医療製品が承認され話題になっています。最近(2021.2)も本邦2品目の商品が製造販売承認がありました。

 今後、免疫細胞に機能増強を目的とした遺伝子編集を施し、がんなどの標的を効率的に排除する製品の開発競争が行われると予想されます。しかしながら、実際に機能増強を行った免疫細胞がその期待どおりの能力(例えば、がんのところだけに集まったり、攻撃力を強くしたり)を発揮できているかを詳細に検証するには動物モデルの利用では限界があります。

 そこで今回、免疫細胞に攻撃されないよう遺伝子編集した iPS細胞と、マイクロ流体デバイスを用いることで動物を使用せず顕微鏡下で、がん組織と免疫細胞の様子を観察できる Cancer-on-a-Chip を開発しました。iPS細胞を使ったアプリケーションやマイクロ流体デバイス技術のご紹介をさせて頂きます。

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発表者:森下拓往さん (宇宙関連スタートアップ勤務)

タイトル:地球観測ビジネス最前線

 ここ5年程度の間に、宇宙から地球を観測したデータを用いたビジネスは、衛星の輸送手段·衛星からの観測手段·データの解析手段の劇的な進歩とともに爆発的に広がっています。

 今回は、宇宙機関と民間企業でのエンジニアとしての経験をもとに、近年の事例や特徴を自身の開発経験を交えてご紹介いたします。

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第30回交流会

2021年1月16日(土) 16:00 ~ 18:30

場所:オンライン

 第30回の交流会では、前半は陰山大輔さん (農業·食品産業技術総合研究機構)に、後半は河尻耕太郎さん (産業技術総合研究所)にそれぞれご講演いただきました。

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発表者:陰山大輔さん (農業·食品産業技術総合研究機構)

タイトル: 昆虫を操る微生物を操ることはできるか?

 昆虫の体内には様々な微生物がひっそりと生息している。細胞内に生息し、母から子に綿々と受け継がれてきた微生物の中には、自分の都合のいいように昆虫の生殖システムを巧妙に操るものがいる。

 微生物による昆虫の生殖操作の多様性と普遍性、微生物と昆虫との間で繰り広げられてきた進化ゲームについて紹介するとともに、このような微生物を利用して害虫駆除や益虫繁殖に役立てるといった試みについてもお話しします。

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発表者:河尻耕太郎さん (産業技術総合研究所)

タイトル:研究開発を「超」効率化する革新的実験計画法「Multi-Sigma」 – 人間による試行錯誤からAIによる探索へ –

 私の発表では、AIの技術を活用して、実験の労力を大幅に(場合によっては1/100以下に)削減できるとともに、従来人の先入観によって発見されていなかった全く新しい解をも簡易に探索できる、革新的実験計画法「Multi-Sigma」について発表します。

 人による試行錯誤からAIによる探索の時代になったとき、研究開発の在り方はどのように変わるのでしょうか?

 本発表では、私のこれまでの産総研、MIT、OECDでの活動を通じて得られた知見·経験をご報告するとともに、今後のAI時代における研究開発の在り方について、みなさんと議論を行いたいと思います。

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第29回交流会

2020年8月29日(土) 16:00 ~ 18:30

場所:オンライン

 第29回の交流会では、前半は畠山一翔さん(産業技術総合研究所)に、後半は森裕和さん(Blue Abyss)にそれぞれご講演いただきました。

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発表者:畠山一翔さん(産業技術総合研究所)

タイトル: 万能ナノシート「酸化グラフェン」

 原子レベルの厚さしか持たないナノシートが、今や世界で最も熱い研究対象の1つとなっています。

 2010年にノーベル物理学賞を受賞したグラフェンは最も有名なナノシートですが、その酸化体である酸化グラフェンが世界を席巻していることをご存知でしょうか。それは酸化グラフェンがグラフェンと比較して多機能で扱いやすく、都合よくグラフェンに戻すことができるからです。

 ここでは幅広い分野で魅力を発揮する酸化グラフェンについてご紹介します。

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発表者:森裕和さん(Blue Abyss)

タイトル:世界初!民間による宇宙飛行士訓練施設

 近年、ロケット製造からコンステレーションと呼ばれる大量の小型衛星群など、宇宙業界の様々な分野で今まで国防を目的とする国主導の活動であった宇宙開発が、民間主導になり宇宙ビジネスとなってきました。

 ロケットなどメディアに出るものや宇宙産業で最も市場規模の大きい衛星関連のセグメントで、様々な民間企業が設立されている中、今回は英国にある民間”宇宙飛行士”訓練施設として世界初であるBlue Abyssを紹介させていただきます。

 Blue Abyssの立ち上げ当初から関わっていた森裕和が、Blue Abyssの掲げる構想と実際に建設する最初のセンターについて紹介させていただきます。

 宇宙飛行士訓練だけでなく、宇宙機器のテストや海洋研究用の機器のテストからエンタメや教育要素も加え、宇宙飛行士訓練施設をフル活用した包括的なサービス提供も目指しております。

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