第23回交流会

2018年9月8日(土) 16:00 ~ 18:30

場所:吾妻交流センター

 第23回の交流会では、前半は穴原琢摩さん(宇宙航空研究開発機構)に、後半は金賢徹さん(産業技術総合研究所·東京農工大学)にそれぞれご講演いただきました。

 前半の穴原さんのご講演では、人工衛星から発射したマイクロ波の反射を用いて地球を観測する合成開口レーダーについて、その原理や様々な利用方法をご紹介いただきました。インフラ施設の経年変化の抽出のようなまさに社会問題になりつつある課題へのアプローチについてもご紹介いただけ、とても面白いご講演でした。

 後半の金さんのご講演では、”がん”の定義や現状の医療における課題、それを解決するための研究についてご紹介いただきました。健康診断で採取する程度の量の血液からがん細胞を見つけだす装置の開発についてのお話しなどもあり、非常に興味深いご講演でした。

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発表者:穴原琢摩さん(宇宙航空研究開発機構)

タイトル:レーダー衛星とは?

 合成開口レーダー(Synthetic Aperture Radar; SAR)を用いて観測を行う衛星についての諸々をお話しします。SARの観測データを使うことで、布で覆われて隠れているところを透視して下が見えたり、観測するビルの高さはメートル精度でしか測れないのにビルの伸縮(高さの差)はミリメートル精度で測れたり、世界中の原油備蓄量を観測して先物取引の予測に使えそうになったりしています。

 こういう衛星が今も世界中を飛び回っているんだなー、ぐらいにご紹介させて頂ければと思います。

 専門は画像解析·統計解析なので、こちらを多めにご紹介する予定です。

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発表者:金賢徹さん(産業技術総合研究所·東京農工大学)

タイトル:がんとはどんな病気か?これからのがん診断技術とは?

 日本では2人に1人以上が罹患し、未だに死因ナンバーワンである「がん」。がんとはどのような病気か、なぜ治療が難しいのか、今後のがん克服に向けて、どのような課題を解決せねばならないのかについて、普段は生命科学に馴染みの少ない方にも分かっていただけるよう、まずはお話します。

 また、がんの早期発見、高精度診断に向けて、様々な技術の開発が今日も行われています。微細加工技術や機能的微粒子、走査型プローブ顕微鏡も駆使するような、最新のがん診断技術について、簡単な技術原理の解説を含めて紹介します。

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