第33回交流会

2021年10月23日(土)16:00 ~ 18:30

場所:オンライン

 第33回の交流会では、前半は齋藤 隆一さん(東亜薬品工業株式会社)に、後半は鹿野 豊さん(群馬大学 / チャップマン大学量子科学研究所 / JSTさきがけ)にそれぞれご講演いただきました。

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発表者:齋藤 隆一さん(東亜薬品工業株式会社)

タイトル: 腸内細菌叢とプロバイオティクス

腸内細菌叢は第二の臓器とも言われ、我々の健康に大きく関与しています。腸内細菌叢の乱れは、感染症や腸炎だけでなく、癌、糖尿病や自閉症などの様々な疾患の発症に関与していることが示唆されております。

そして、プロバイオティクスとして用いられている細菌は、この腸内細菌叢の乱れを回復することで、様々な疾患の治療·改善することが知られており、現在非常に注目されています。

今回は、腸内細菌叢の働きと、プロバイオティクスの効果や課題について我々の臨床研究結果を交えてご紹介させて頂きます。

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発表者:鹿野 豊さん(群馬大学 / チャップマン大学量子科学研究所 / JSTさきがけ)

タイトル: 世界は本当にデタラメなのか?~理論物理学者からの考察~

「神はサイコロを振らない」というのは、2015年に結成された4人組のロックバンド名でもあるが、20世紀を代表する理論物理学者 Albert Einstein の有名な一言である。この背後には、Albert Einstein の量子力学という20世紀初頭に誕生した新しい世界観を受け入れらないというものであった。一方、世界がランダムであるかどうかの論争は紀元前の「骨転がし」の時から始まり、現在まで、もしかしたら複雑な決定論的な法則によって支配されている可能性を否定できない。そのため、デジタル計算機における最初の応用事例の一つは John von Neumann が考えた「疑似乱数生成機」であった。その後、応用数学·暗号理論の発展により、疑似乱数の理論は発展していくが、この世の中を記述する方法論として原理的に確率的な記述でなければならないか?ということは検証すべき研究課題である。そうすることで、本質的に確率的な記述が必要である量子力学の基盤を検証することが出来ると考えられている。そこで本発表では、乱数の歴史を哲学·物理学·統計学·確率論の歴史と交えて紹介し、乱数の尺度をどのように定量化するかについて情報科学的な観点を導入することで紹介し、自身の量子乱数生成の研究について紹介する。

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第32回交流会

2021年7月17日(土) 16:00 ~ 18:30

場所:オンライン

 第32回の交流会では、前半は岸田昌子さん(国立情報学研究所)に、後半は今村岳さん(物質·材料研究機構)にそれぞれご講演いただきました。

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発表者:岸田昌子さん(国立情報学研究所)

タイトル: 動きをデザインする科学 ~数学に基づく現象の理解とモノの動きの設計~

 制御とは、入出力があるモノから望みの出力を得るように自動的に入力を調整する仕組みのことです。航空機や自動運転車からロボットまで、あらゆる動くモノで使われている制御技術の基盤となるのは、数学の一分野である制御理論です。

 今回は、制御理論の研究とはどういったものかということ、最近話題の深層学習との意外な関係、また自身の最近の研究を紹介します。

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発表者:今村岳さん(物質·材料研究機構)

タイトル:ニオイを測るセンサの開発と社会実装

 人間の五感の中で、嗅覚は実用的なセンサ化が実現していない唯一の感覚です。

 ニオイを気軽に測ることのできるセンサが実現したら、野菜や肉が腐っていないかどうかチェックしたり、お気に入りの香水や芳香剤を選ぶことができたりと、様々な場面で活用が期待されます。しかし、ニオイを検知するセンサの性能が不十分であることや、センサで得られるデータの解析方法が開発されていないといった課題があり、これまで実用的なニオイセンサは開発されてきませんでした。

 こういった課題に対して私達は、膜型表面応力センサ(Membrane-type Surface stress Sensor, MSS)という超小型のセンサを用いたニオイセンサの開発を行ってきました。この取り組みの中で、センサの高感度化やAIと組み合わせたデータ解析技術の開発などを行い、ニオイセンサの実用化の道筋が見えてきました。

 この発表では、これまでのニオイセンサの研究·開発の概要と、今後予定している取り組みについてご紹介させて頂く予定です。

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第31回交流会

2021年4月24日(土) 16:00 ~ 18:30

場所:オンライン

 第31回の交流会では、前半は三嶋雄太さん (筑波大学)に、後半は森下拓往さん (宇宙関連スタートアップ勤務)にそれぞれご講演いただきました。

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発表者:三嶋雄太さん (筑波大学)

タイトル:がんをマイクロチップ上に三次元構築する!「Cancer-on-a-Chip」

 免疫細胞を遺伝子編集してがんの治療に用いる再生医療製品が承認され話題になっています。最近(2021.2)も本邦2品目の商品が製造販売承認がありました。

 今後、免疫細胞に機能増強を目的とした遺伝子編集を施し、がんなどの標的を効率的に排除する製品の開発競争が行われると予想されます。しかしながら、実際に機能増強を行った免疫細胞がその期待どおりの能力(例えば、がんのところだけに集まったり、攻撃力を強くしたり)を発揮できているかを詳細に検証するには動物モデルの利用では限界があります。

 そこで今回、免疫細胞に攻撃されないよう遺伝子編集した iPS細胞と、マイクロ流体デバイスを用いることで動物を使用せず顕微鏡下で、がん組織と免疫細胞の様子を観察できる Cancer-on-a-Chip を開発しました。iPS細胞を使ったアプリケーションやマイクロ流体デバイス技術のご紹介をさせて頂きます。

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発表者:森下拓往さん (宇宙関連スタートアップ勤務)

タイトル:地球観測ビジネス最前線

 ここ5年程度の間に、宇宙から地球を観測したデータを用いたビジネスは、衛星の輸送手段·衛星からの観測手段·データの解析手段の劇的な進歩とともに爆発的に広がっています。

 今回は、宇宙機関と民間企業でのエンジニアとしての経験をもとに、近年の事例や特徴を自身の開発経験を交えてご紹介いたします。

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第30回交流会

2021年1月16日(土) 16:00 ~ 18:30

場所:オンライン

 第30回の交流会では、前半は陰山大輔さん (農業·食品産業技術総合研究機構)に、後半は河尻耕太郎さん (産業技術総合研究所)にそれぞれご講演いただきました。

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発表者:陰山大輔さん (農業·食品産業技術総合研究機構)

タイトル: 昆虫を操る微生物を操ることはできるか?

 昆虫の体内には様々な微生物がひっそりと生息している。細胞内に生息し、母から子に綿々と受け継がれてきた微生物の中には、自分の都合のいいように昆虫の生殖システムを巧妙に操るものがいる。

 微生物による昆虫の生殖操作の多様性と普遍性、微生物と昆虫との間で繰り広げられてきた進化ゲームについて紹介するとともに、このような微生物を利用して害虫駆除や益虫繁殖に役立てるといった試みについてもお話しします。

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発表者:河尻耕太郎さん (産業技術総合研究所)

タイトル:研究開発を「超」効率化する革新的実験計画法「Multi-Sigma」 – 人間による試行錯誤からAIによる探索へ –

 私の発表では、AIの技術を活用して、実験の労力を大幅に(場合によっては1/100以下に)削減できるとともに、従来人の先入観によって発見されていなかった全く新しい解をも簡易に探索できる、革新的実験計画法「Multi-Sigma」について発表します。

 人による試行錯誤からAIによる探索の時代になったとき、研究開発の在り方はどのように変わるのでしょうか?

 本発表では、私のこれまでの産総研、MIT、OECDでの活動を通じて得られた知見·経験をご報告するとともに、今後のAI時代における研究開発の在り方について、みなさんと議論を行いたいと思います。

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第29回交流会

2020年8月29日(土) 16:00 ~ 18:30

場所:オンライン

 第29回の交流会では、前半は畠山一翔さん(産業技術総合研究所)に、後半は森裕和さん(Blue Abyss)にそれぞれご講演いただきました。

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発表者:畠山一翔さん(産業技術総合研究所)

タイトル: 万能ナノシート「酸化グラフェン」

 原子レベルの厚さしか持たないナノシートが、今や世界で最も熱い研究対象の1つとなっています。

 2010年にノーベル物理学賞を受賞したグラフェンは最も有名なナノシートですが、その酸化体である酸化グラフェンが世界を席巻していることをご存知でしょうか。それは酸化グラフェンがグラフェンと比較して多機能で扱いやすく、都合よくグラフェンに戻すことができるからです。

 ここでは幅広い分野で魅力を発揮する酸化グラフェンについてご紹介します。

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発表者:森裕和さん(Blue Abyss)

タイトル:世界初!民間による宇宙飛行士訓練施設

 近年、ロケット製造からコンステレーションと呼ばれる大量の小型衛星群など、宇宙業界の様々な分野で今まで国防を目的とする国主導の活動であった宇宙開発が、民間主導になり宇宙ビジネスとなってきました。

 ロケットなどメディアに出るものや宇宙産業で最も市場規模の大きい衛星関連のセグメントで、様々な民間企業が設立されている中、今回は英国にある民間”宇宙飛行士”訓練施設として世界初であるBlue Abyssを紹介させていただきます。

 Blue Abyssの立ち上げ当初から関わっていた森裕和が、Blue Abyssの掲げる構想と実際に建設する最初のセンターについて紹介させていただきます。

 宇宙飛行士訓練だけでなく、宇宙機器のテストや海洋研究用の機器のテストからエンタメや教育要素も加え、宇宙飛行士訓練施設をフル活用した包括的なサービス提供も目指しております。

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第28回交流会

2020年1月25日(土) 15:00 ~ 17:10

場所:吾妻交流センター

 第28回の交流会では、前半は奥野海良人さん(産業技術総合研究所)に、後半は藤平耕一さん(宇宙航空研究開発機構)にそれぞれご講演いただきました。

 前半の奥野さんのご講演では、必須アミノ酸である”トリプトファン”から体内で作られる代謝産物と疾患の関係性についてご紹介いただきました。疾患との関係性をどのように示したか、現在分かっていること·いないことなどもお話しいただき、現在の研究状況が分かるとても面白いご講演でした。

 後半の藤平さんのご講演では、今まさに変革期を迎えている民間企業中心の宇宙開発について、豊富な事例とともにご紹介いただきました。さらに近年新たにJAXAで始まったJ-SPARC事業のコンセプトや最新事例もご紹介いただき、今後の宇宙業界の展開がさらに変化に富んだものになることを予感させるご講演でした。

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発表者:奥野海良人さん(産業技術総合研究所)

タイトル: トリプトファン代謝と心身の健康

 トリプトファンは体内で合成することのできない不可欠アミノ酸であるだけではなく、その代謝産物は生体内で興味深い生理活性を有するものが存在する。

 例えば補酵素のナイアシンや神経伝達物質のセロトニン等が有名であるが、その他にも神経の傷害や保護、免疫の抑制や活性化に関わるもの等がある。

 我々はこれらの化合物がいくつかの疾患と関連していると考え、トリプトファン代謝産物と心身の健康の関連に注目して研究を行ってきたので、その一部を紹介する。

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発表者:藤平耕一さん(宇宙航空研究開発機構)

タイトル:宇宙の使い方と具体例+α

 10年前に比べて、宇宙業界は大きく変わりました。民間企業によるロケット打上げが日常になり、宇宙には星と見紛うほどのたくさんの人工衛星が飛んでいます。

 そんな隆盛しつつある「①宇宙ビジネスのトレンドをお話しする」とともに、「②具体的な事例を紹介」します。加えて、そんな国主導から民主導に変化する流れの中で、「③JAXAが取り組むパートナーシップ型研究開発プログラム(J-SPARC)を紹介」します。最後に、私自身が事業化に向けて取り組んでいる活動に対して「④アイディア募集」をさせてください。

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第27回交流会

2019年10月26日(土) 16:00 ~ 18:30

場所:吾妻交流センター

 第27回の交流会では、前半は新海陽一さん(産業技術総合研究所)に、後半は松本道生さん(物質·材料研究機構)にそれぞれご講演いただきました。

 前半の新海さんのご講演では、線虫C. elegansのこれまでの様々な研究事例紹介や、親が獲得した形質の遺伝に関わる分かっていること/いないことなどをご紹介いただきました。これまでの遺伝に関する知識がまさに覆ろうとしている最先端の事例が分かる、とても面白いご講演でした。

 後半の松本さんのご講演では、どのようにして原子を自在に配置した構造を作るのか、その構造の多様性をどのように担保するかといったことから、”分子ざる”として実際に水から不純物を取り除く事例まで、理論から実践まで幅広くご紹介いただきました。原子の組み合わせ次第で様々な応用のあり得る、非常に興味深いご講演でした。

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発表者:新海陽一さん(産業技術総合研究所)

タイトル: 線虫研究からわかってきた新学説~親の努力を子供が受け継ぐ? ~遺伝子のその先にあるエピジェネティクス

 カレーを食べたら猛烈にお腹が痛くなってそれ以来食べられなくなった、というような経験はありますか?もっと身近なところで例を挙げれば、最近になって花粉症になってしまった方はいらっしゃるでしょう。

 こうした生まれた時には備えていない特徴や能力を獲得した場合、それらは子供に受け継がれるでしょうか?おそらく、この質問に対して、中学校の授業では、「No」と教えられただろうと思います。しかし、近年、それを覆す研究成果が、どんどんと報告されてきています。

 今回、その研究成果の中心にある「エピジェネティクス」とは何か?私たちの病気とどのように関わっているのか?今話題の「相分離」とも関係するのか?などについて、私が扱う線虫C. elegansの研究を織り交ぜながら話題提供いたします。

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発表者:松本道生さん(物質·材料研究機構)

タイトル:原子で創る巨大ネットワークー合成2次元シート化合物で目指す水浄化

 近年の急速な合成有機化学の発展は、比較的小さな有機分子であれば、原子を自在かつ精緻に配置し、分子を思うままに合成することを可能にしました。しかし、ひとたび、目に見えるほど大きな材料に目を向けると、その扱う原子の数が膨大になるため話は一変します。これまで材料中の原子を自在に空間的に配置することは、ほぼ不可能でした。それに対し、原子の位置を精緻に定める2次元·3次元に広がった網状ネットワーク超巨大分子の合成が新たに提案されています。

 本講演では講演者の研究成果を中心に、いかにこのような超巨大分子を合成するかについて概説します。さらに得られる網状巨大分子を「分子ざる」として使うことで、水から汚染分子を取り除く、水浄化の試みについても紹介させていただきます。

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第3回特別交流会

2019年7月27日(土) 15:00 ~ 17:30

場所:吾妻交流センター

 第3回特別企画交流会(第4回 Space Cafe 日本語版)はSpace Cafeとの特別コラボ企画で宇宙スペシャルをお送りします。

 今回は高橋鷹山さん (宇宙建築ベンチャーCEO)、岡部明海さん (宇宙飛行士インストラクター)、Kelsie Stewartさん (FabCafe manager (International Communications))にそれぞれご講演いただきました。

 高橋さんのご講演では、折り紙を応用した月面基地の構想や室内でのプライベート空間構築についてお話しいただきました。収納時はコンパクトに、展開後は大きな空間を確保できる折り紙構造の様々な使い方や現状の課題等、多様な視点から会社の事業についてご紹介いただきました。

 岡部さんのご講演では、宇宙飛行士の仕事や訓練の内容、今まさに実現しようとしている民間有人飛行についてご講演いただきました。宇宙飛行士と普段から接している岡部さんだからこそ分かるお話しも多く、とても面白いご講演でした。

 Kelsieさんのご講演では、Fablabでの活動をご紹介いただくと共に、アイデアソンの体験ワークショップを行いました。実際に体験することでアイデアソンの特徴が体感として理解できた、楽しいご講演でした。

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発表者:高橋鷹山さん (宇宙建築ベンチャーCEO)

タイトル: 月に家を建てる

 株式会社OUTSENSEは、「宇宙に家を造ることを通して、今までの常識から抜け出す」ことを目指しています。

 空間の拡張と縮小が可能な「折り紙」技術を用いて、地上から宇宙に至るまで、常識にとらわれないライフスタイルの提案をいたします。

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発表者:岡部明海さん (宇宙飛行士インストラクター)

タイトル:宇宙飛行士と宇宙飛行士訓練

 世界にはどんな宇宙飛行士がいるのか。宇宙飛行士はどんな訓練を受けているのか、宇宙開発の歴史も紐解きながら、ご紹介していきたいと思います。

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発表者:Kelsie Stewartさん (FabCafe manager (International Communications))

タイトル:Getting to a challenge, finding a solution: SDGs

 SDGsに関連するプロジェクト、グローバルゴール Jamについて。デザインシンキングで、チャレンジを解決!

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第26回交流会

2019年5月18日(土) 15:30 ~ 18:30

場所:吾妻交流センター

 第26回の交流会では、前半は羽田良之さん(筑波大学大学院教育研究科)に、後半は宮崎英治さん(宇宙航空研究開発機構)にそれぞれご講演いただきました。

 前半の羽田さんのご講演では、国際バカロレアとはそもそもどのようなものか、世界と日本の状況の比較といった概要、日本の教育との折り合いのつけ方や経験者からのヒアリング事例などをご紹介いただきました。教育分野から一歩離れた視点からの国際バカロレア教育の評価まで伺えた、とても面白いご講演でした。

 後半の宮崎さんのご講演では、宇宙空間で宇宙機の周囲を包む材料について、どのような特性のものが使われているか、過去に宇宙で発生した不具合の事例、及び研究評価に関する最近の活動についてご紹介いただきました。宇宙空間に曝露された部材がどのように変化するのか、実機の写真を用いてご紹介いただき、非常に興味深いご講演でした。

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発表者:羽田良之さん(筑波大学大学院教育研究科)

タイトル: 国際バカロレア(IB)教育をネタに日本の教育を考える

 最近、日本各地で国際バカロレア(IB)認定校が増えていることはご存知ですか?

 以前は日本におけるIB認定校の多くはインターナショナルスクールでしたが、近年はフツーの小中高校(学校教育法第一条に基づくいわゆる”一条校”)においてIB教育が導入され始めています。交流会では次のような疑問に答えていきます。

 IB教育とはどういうものか?

 なぜ日本でIB認定校が増えているのか?

 日本の教育とは何が違うのか?

 私は大学卒業後、政府系金融機関での投資銀行業務、海外ビジネススクール留学を経て、現在は社会人向け人材育成に携わりつつ、IB教員資格を持つ高校教師になるべく筑波大学大学院で教育学を学んでいます。

 別の業界から学校教育の現場に飛び込むことになりますが、そのような立場からIB教育を紹介しつつ、そこから話を発展させて日本の教育について皆さんと考えたいと思います。

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発表者:宮崎英治さん(宇宙航空研究開発機構)

タイトル:宇宙用材料研究と、社会科学研究への参画

 人工衛星など宇宙機で使う材料にまつわる研究を行っています。

 宇宙空間の環境と、材料がそのような環境でどのような影響を受けるのか、保護するための対策はどのように行っているのか、といった宇宙用材料研究の概要をご紹介します。

 また、昨年度から社会科学研究のチームに参加し、国立研究開発法人における評価とマネジメントについても考えています。

 私が感じている課題と、その課題解決に向けた取り組みについてご紹介します。

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第25回交流会

2019年2月23日(土) 17:00 ~ 19:00

場所:吾妻交流センター

 第25回の交流会では、前半は高橋顕さん(産業技術総合研究所)に、後半は春木美鈴さん(宇宙航空研究開発機構)にそれぞれご講演いただきました。

 前半の高橋さんのご講演では、古くからあるプルシアンブルーに高い吸着能力がある理由、その能力を活かしたアンモニア除去等の最近の研究成果についてご紹介いただきました。特定の物質に合わせた吸着機能をもつ素材を作ることも可能とのことで、今後の様々な活用の可能性を感じるとても面白いご講演でした。

 後半の春木さんのご講演では、日本初の宇宙ステーションからの帰還を果たした小型回収カプセルの開発全体について、その意義から開発の様子まで幅広くご紹介いただきました。多くの動画を用いて実際の回収の様子までご紹介いただき、開発だけでなく運用の臨場感まで分かる、とても楽しいご講演でした。

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発表者:高橋顕さん(産業技術総合研究所)

タイトル: 青色顔料で空気をキレイに

 青色顔料であるプルシアンブルーは、18世紀初頭に初めて合成された人工顔料です。

 その特徴的な深い青から、葛飾北斎やゴッホなど著名な画家達が絵画に用いて来ました。

 現在でもプルシアンブルーまたは紺青という名前で絵の具として売られています。

 絵の具として長年使われてきたプルシアンブルーが、実は市販の脱臭剤として使われている材料よりも、悪臭の原因物質を吸着除去できる能力が高いことを近年発見いたしました。

 今回はプルシアンブルーの吸着材としての機能について紹介したいと思います。

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発表者:春木美鈴さん(宇宙航空研究開発機構)

タイトル:宇宙からふんわり帰還した小さいカプセルについて ~小型回収カプセルのご紹介~

 2018年11月11日、国際宇宙ステーション(ISS)から、小型回収カプセルが帰還に成功しました。

 日本が国際宇宙ステーションからサンプルを持って帰ってくるのは初めての挑戦であり、確実·効率的な回収のために、揚力を用いた誘導制御等の技術的な工夫をしています。

 地球から宇宙に行くことも大変ですが、宇宙から地球から帰ってくることも多くの課題があります。

 当日は、そんな小型回収カプセルプロジェクトの開発や回収運用についてご紹介します。

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