2015年10月24日(土) 15:00 ~ 17:00
場所:吾妻交流センター
今回は通常の交流会の番外編として、米国から一時帰国されている小野雅裕さん(NASAジェット推進研究所)をお招きし、特別企画として交流会を開催しました。
初の特別企画でしたが、日本ではなかなか聞くことのできないNASAの様々なお話が聞けるとあって、大勢の方にご参加いただけました。小野さんからはNASA JPLに関する様々な話題をご提供いただき、とても貴重な機会になりました。
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発表者:小野雅裕さん(NASAジェット推進研究所)
タイトル:JPLの最新の動向と、組織の仕組み
本公演では、まずNASAジェット推進研究所(JPL)のこれからの10年の展望をお話しする。次に、JPLのイノベーションを支える組織の仕組みと、そこで用いられるプロジェクトや研究のマネージメントの方法論を解説する。
NASAジェット推進研究所による次の十年の太陽系探査は野心的なプロジェクトが目白押しである。2020年に打ち上げられる火星ローバーはJPLが提案している火星サンプルリターン計画の一環であり、太古の地球外生命の痕跡を残す土壌のサンプルの取得を目標とする。また、小型のヘリコプターを搭載し、火星の空を飛ぶ構想もある。同じく2020年頃にはエウロパ探査機が打ち上げられる。氷透過レーダーを搭載し、地底の海における生命の居住可能性を調べる予定である。系外惑星探査もアツい。系外惑星の直接撮像を目指し、コロナグラフを搭載した次世代宇宙望遠鏡WFIRSTやStarshadeの技術の検討が進む。
これらのJPLのプロジェクトや研究は、トップダウン形式のビジョンの共有と、ボトムアップ形式のイノベーションの組み合わせで行われる。また、マトリックス·オーガナイゼーションによる組織構成は、人材配置のフレキシビリティーの確保と職員のモチベーション維持に重要な役割を果たしている。これらの仕組みについて講演の後半を用いて概説する。
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