第14回交流会

2016年7月9日(土) 15:00 ~ 17:30

場所:吾妻交流センター

 第14回の交流会では、前半は金本成生さん(株式会社スペースシフト)に、後半は森下拓往さん(宇宙航空研究開発機構)に、それぞれご講演いただきました。

 前半の金本さんのご講演では、近年特に活発になっている民間企業主導での宇宙開発の展望や、スペースシフト社よりクラウドファンディングを通じて販売された超小型人工衛星開発キット『ARTSAT KIT』のご紹介など、宇宙開発·利用に関わる民間の動きを多方面からご講演いただきました。

 後半の森下さんのご講演では、小型人工衛星の特徴や近年の動向、JAXAの大型衛星·JAXAの小型衛星·大学の小型衛星のそれぞれの開発手法の特徴やメリット·デメリットについてご紹介いただきました。一口に”衛星開発”と言っても、開発規模や官民の組織の違いなどによって開発へのアプローチの仕方が変わることがよくわかるご講演でした。

発表者:金本成生さん(株式会社スペースシフト)

タイトル:誰でも宇宙にチャレンジできる超小型人工衛星開発キット『ARTSAT KIT』

 宇宙ビジネスは、政府や大企業によるプロジェクトから、ついに個人が関われるところまで身近になってきました。そんな中、弊社では誰でも宇宙にチャレンジできる超小型衛星キット「ARTSAT KIT」の販売を開始しました。

 近年、大学を中心に超小型衛星の開発が盛んになり、打上げも行われていますが、単純な設計ミスやトラブルで、軌道上での動作に至らないケースも後を絶ちません。本キットを使うことで、衛星の基本となる部分はキットに任せ、衛星の使い方やミッションの設計に専念することができます。

 また、これからハードウェアとしての衛星はコモディティ化し、よりソフトウェアや、アプリケーションが重要になっていきます。そのような宇宙ビジネスの変化や現状、今後の展望についてもお話しますので、自分ならどんな宇宙事業が展開できるのか、など、将来を想像するきっかけにしていただければと思います。

発表者:森下拓往さん(宇宙航空研究開発機構)

タイトル:人工衛星のつくりかた ~小型衛星開発の経験をもとに~

 近年、人工衛星の打ち上げ機数は、実際に打ち上げた機数·打ち上げが計画されている機数ともに増え続けています。非宇宙企業による、衛星群を使ったインターネット回線の提供計画の発表、このような計画への投資計画の発表等、これまで宇宙開発とは無縁だった企業の参画も増えてきています。急速に打ち上げ機数が増えている理由の一つとして、Cubesat、Microsat等の名称で呼ばれる「小型衛星」の進歩があります。日本では、本交流会の第10回においてご紹介いただいた筑波大学のCubesatプロジェクトなど、大学による小型衛星の開発が特に盛んに行われています。

 今回の講演では、大学およびJAXAにおいて小型衛星開発に関わった経験から、「小型衛星の開発がどのように進んでいくのか?」、「JAXAと大学の小型衛星開発の似ているところ·違っているところ」、「世界と日本の小型衛星開発の似ているところ·違っているところ」など、”小型衛星の開発”を様々な方向からご紹介します。また、「なぜ今、小型衛星が世界的なブームとなっているのか?」について、学会等で収集した情報をもとに、私なりの見解もお伝えしようと思います。